こんにちは、分散型ライフのエンジです。
基本的にFX自動売買ではパフォーマンスが良いEAを選択して長期間稼働させていきます。
但し、1つのEAに資金が集中してしまうと、プロフィットファクタが良いEAでも月毎の成績を見ると不安定な場合があります。収益の安定化を図る上でEAを分散化させた方が良い結果をもたらす場合があります。また、出来るだけ為替の値動きといったボラティリティに左右されないEAが望ましいです。今回はEAの分散化を図るべく、相場変動に動じないようなポートフォリオ作成についてお話していきます。
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1つのEAに資金を集中させると危ない?
相場の世界では「卵を1つの籠に盛るな」という格言がありますが、FX自動売買でも同様の考え方を持った方が良いと思います。
FX自動売買のEAを考える前に、身近な例としてNYダウについて考えてみましょう。
NYダウは下図に示す通り、歴史的に過去100年から右肩上がりで成長しています。
(出典元 : 世界経済のネタ帳 http://ecodb.net/stock/dow.html )
昨今の米国の経済状況を鑑みると、今後も強い米国として経済成長が見込めそうですよね。この状況をみると米国株に投資をすれば、資産状況も右肩上がりで伸ばせそうだと推測出来ます。一方、日経平均株価では日本のバブル期で躍進した3万円台をピークに、高値2万円安値7千円のレンジ相場に落ち着いています。
もし現在の経済状況が日本のバブル期同等の状況であると仮定したら、今をピークに下降する可能性もありますよね。
リスク面において、過去のリーマンショック等の大暴落もある程度想定しておく必要があります。リーマンショックを乗り越えた後もトレンド転換は起こらずに上昇トレンドとなりましたが、次の○○ショックでは下降トレンドに転じるかもしれません。
FX自動売買に話を戻します。EAのバックテストが右肩上がりでも今後の相場でもパフォーマンスを維持できるのか?これはフォワードテストを継続的に行っていかないとわかりません。
このため、1つのEAに資金を集中するのではなくて、複数のEAで運用した方がリスク分散に繋がります。
ここまではドローダウンの危険性や単独EAのパフォーマンスに頼るのはリスクがあるということを話していきましたが、さらに収益の安定化を図る事も出来ます。
例として、以下のバックテストにおける月毎の収益グラフを見てみましょう。
2番目の図が2014年頃~2017年3月迄の月毎の損益グラフとなります。
バックテストによるとトータルでは右肩上がりで収益が伸びていますが、月毎の損益グラフが乱高下していますね。
一時期ドローダウンとして-370を記録している月があります。
単独のEAではプロフィットファクタや最大ドローダウンの数値が優秀でも、月毎の損益は不安定であると言えそうです。
それでは複数のEAを組み合わせるとどのようにパフォーマンスが改善されるのでしょうか。
複数のEAで分散化させた結果
まずはEAを分散化させた時の効果について見てみましょう。合計の通貨量は単独と複数で同じとなります。尚、各EAの通貨配分比率の決定方法は後程説明します。
◆使用するEA
※全て小生が自作したEAです。
A : PF : 1.47 最大DD : 1.18
B : PF : 1.25 最大DD : 3.72
C : PF : 1.27 最大DD : 2.94 (前述のEA)
D : PF : 1.56 最大DD : 1.59
◆月毎の損益グラフ
◆結果
先程の単独でEAを稼働させた場合と比較するために、月毎の平均損益と最大ドローダウンについて検討します。
【単独EA】
平均損益 : 60 最大ドローダウン : -370 リスクリターン率 : 0.16
【複数EA】
平均損益 : 50 最大ドローダウン : -138 リスクリターン率 : 0.36
上記の通り、最大ドローダウンを半分以下に抑えることが出来て、リスクリターン率を向上させることが出来ました。月毎の損益グラフでは多少の上下は見受けらるが、先程の単独稼働よりは安定していると言えます。(グラフ縦軸の最大値・最小値を参照)
複数のEAでポートフォリオを組む
複数のEAを組み合わせることで、収益の安定化とリスクリターン率を向上化に貢献出来ることがわかりました。続いてEAのポートフォリオの組み方について説明していきます。EAの特徴や相関係数、ペイオフレシオ・リスクリターン率を用いて通貨量配分率を決めていきます。
EAの特徴を抑える
組み合わせるEAがどのような相場に適しているのか考察する必要があります。
まずはEAの特徴を抑えておきしょう。適切に組み合わせることで、どのような相場環境下でも収益を伸ばせるポートフォリオを組むことが出来ます。
・トレンドフォロー型
・レンジ型
・ブレイク型
EA同士の相関係数を算出する
相関係数の説明については以下の記事を参照下さい。
具体的には、Excelで各EAの月毎の損益を書き出して、CORREL関数を用いて相関係数を算出することが出来ます。
相関係数が+1に近ければ似たような動きをするEA、逆に-1に近ければ逆の動きをするEAとわかります。
トレンドフォロー型とブレイク型は相関係数が+1寄りになりそうですね。トレンドフォロー型とレンジ型は-1~0の間と推測されます。
出来るだけ、逆相関のEAや相関が低いEAを選択して組み合わせると、複数のEAが同時に損失を計上する可能性が下がりますので、最大ドローダウンを抑えることが出来ます。
EAのペイオフレシオ・リスクリターン率を求める
EAのバックテストでは上述のペイオフレシオやリスクリターン率は表示されません。
従って手計算する必要があります。ペイオフレシオやリスクリターン率がわかると、EAのパフォーマンス比較が出来ますので、抑えておくと良いと思います。
計算方法は下記の記事を参照して下さい。
「ペイオフレシオ」や「リスクリターン率」でEAやトレードの収益性を評価する
ポートフォリオを組む
上記の相関係数やペイオフレシオ・リスクリターン率から、EAの通貨量配分を決定してポートフォリオを組みます。
しかし、特に組み方の計算方法は無く、個人の裁量となります。
小生の場合では、相関係数×ペイオフレシオ×リスクリターン率で自分なりに指数を作成して、配分比率を決めてポートフォリオを組んでいます。
相場変動に左右されにくいポートフォリオ
ここまでポートフォリオの組み方を説明しましたが、月毎の損益を安定化させるためには、相場変動に左右されにくいポートフォリオが大切です。
通貨のボラティリティを考慮したポートフォリオを組めると更に良いです。
例として小生の場合は下記の通りとなります。通貨はドル円をメインとしており、通貨のボラティリティとドル円の値動きを指数化してEAの月毎の損益グラフに載せてみました。
ちなみにこの複数EAポートフォリオとドル円との相関係数は-0.07となります。
つまり、ドル円の値動きとほとんど相関性が無いと言えます。
アベノミクス相場やギリシャショック、ユーロ離脱、トランプ大統領就任等のビックイベントに対しても複数EAポートフォリオは安定した損益で推移出来ていることがわかります。
ドル円の過去値やボラティリティは証券会社のHPから入手出来ますので調べてみて下さい。
まとめ
単独のEAと複数EAにおいて、リスク度合いや収益性の違いを挙げてみました。
資金を単独のEAに集中させることなく、複数のEAに分散化させた方が安全に運用出来ます。
しかし複数のEAを組み合わせるやり方について触れている情報があまりなかったので、小生のやり方を書いてみました。
EAの相関係数、ペイオフレシオ、リスクリターン率、通貨ボラティリティを考慮して最適なポートフォリオを組めるように検討してみました。
皆様もぜひ、FX自動売買で複数のEAを組みあわせて運用してみてはいかがでしょうか。
以上、「【FX自動売買】複数のEAでポートフォリオを組んで収益の安定化を目指す」でした。