こんにちは、分散型ライフのエンジです。
「サヤ取り」という言葉を耳にしたことはありませんか?
株の世界では比較的有名な手法ですが、FXでもサヤ取りを実現することは可能です。
通貨相関を考慮して、サヤ取りを実施した時のチャートと損益を過去の相場からシミュレーション出来るソフトをExcelで作ってみました。
(ソフトといってもExcelに関数打ち込んだだけですが・・・)
サヤ取りについて
冒頭でも述べましたが、似たような動きをする(相関性が高い)物を組み合わせて、価格差を利用して利ザヤを稼ぐことです。
サヤ取りは、別名「裁定取引」「アービトラージ」とも言われてます。
サヤ取りの実際として、株式投資で例を挙げると、A自動車とB自動車、A金属とB金属のように銘柄を組み合わせてサヤ取りします。サヤ取りの対象となる銘柄や指標は限定されておらず、インデックスやコモディティ、債券、はたまたスポーツクラブ入会者数、英会話教室入会者数などサヤ取りの対象物は何でも構いません。
※余談ですが日経平均とスポーツクラブ・外国語会話教室の入会者との相関性について、東洋経済に掲載されていて面白かったですよ
話を戻しまして、FXでサヤ取りを行う場合には通貨の相関性を考慮して行います。
相関係数については下記を参照下さい。
例えば AUD/JPYとNZD/JPYの相関性を検討するとします。
相関性は相関係数で判断し、係数は-1から+1の値を取ります。
正の相関である場合は、+1に近いほど2通貨共に似たような動きとなります。
負の相関(逆相関)である場合は、-1に近いほど真逆の動きとなります。
相関係数は「通貨 相関係数」と調べると出てきます。
2017年4月13日現在は、AUD/JPYとNZD/JPYの相関係数は0.94でしたので、強い正の相関であるといえます。
ただし、AUD/JPYとNZD/JPYの両建ては結果的にAUD/NZDのポジションを持つことと同義であるため、本質的にはサヤ取りとは言い難いと思います。
このため、AUD/NZDとUSD/CADの相関性を検討したり、複数の通貨を組み合わせて考えたりします。
サヤ取りをシミュレーションしてみました
ということで、小生が作ってみた簡易シミュレーションソフトを実際に使ってみました。
・前日比の値幅(pips)を算出してグラフに表しています。
・期間は2002年4月1日~2017年3月3日としています。
・通貨ボラティリティによる按分は考慮していません。
【① 豪ドル円とNZドル円の両建て】
・NZドル円買い、豪ドル円売り
2006年から2013年辺りは値幅がマイナスで推移してますね。
安定しているとは言い難いと思います。
【②米ドル円と加ドル円の両建て】
・加ドル円買い、米ドル円売り
2014年からアベノミクスやトランポノミクスで米ドルが強くなっている傾向なので、米ドル円売りはどうかなと思いましたが、案外プラス値幅をキープ出来てますね。
基本的には米ドル円と加ドル円は相関性が高いです。
【③米ドル円・加ドル円、豪ドル円・NZドル円の組み合わせ】
・加ドル円買い、米ドル円売り
・NZドル円買い、豪ドル円売り
先程の米ドル円・加ドル円に豪ドル円・NZドル円をミックスすることによって、
最大DDが抑えられていますね。また通貨変動のボラティリティも抑えています。
これでスワップがプラスになれば良さそう?ですね。
【④米ドル円・加ドル円、豪ドル円・NZドル円、ユーロ円・ポンド円の組み合わせ】
・加ドル円買い、米ドル円売り
・NZドル円買い、豪ドル円売り
・ユーロ円買い、ポンド円売り
今度は欧州通貨を混ぜてみました。
近々ではスイスフランショック、ギリシャ債務危機、イギリスユーロ離脱を問う国民投票等の大イベントが記憶に新しいです。今後はフランスの大統領選挙を控える、戦々恐々としたユーロ通貨ですが、果たしてパフォーマンスはどうなるでしょうか。
先程と比較して、最大値幅を大きく伸ばしました。
2014年~2015年に大きなドローダウンを喫しましたが2016年でV字回復した形となりました。
2002年~2017年までプラスの値幅で推移していることなります。
サヤ取りシミュレーションの所感
通貨分散でロングショートポジションを持つことで、どの程度パフォーマンスが出せるのかわかりました。
理想としてはボラティリティが小さくてスワップポイントがプラスとなる通貨組み合わせが最適ですよね。
意外と面白かったので、今度は新興国通貨を混ぜて色々検証してみようと思います。
◆サヤ取りについてもっと詳しく知りたい!という方は以下の本がおススメですよ。