こんにちは、分散型ライフのエンジです。
最近は株式投資のデイトレードに興じており、FXとは戦略パターンが異なるということを実感している日々です。
株式投資の短期トレードでは、テクニカルよりも出来高・板情報・値上がり比率・賃借倍率等を意識します。そこでFXのシステムトレードのEAに出来高を含めたらPF(プロフィットファクタ)が改善するのでは?と仮説を立てて検証してみました。
出来高を意識する理由
前述したように、株式投資では出来高を重視します。
出来高とは株式の売買株数を表します。出来高が多い方が活発な取引が行われていることがわかります。
例として[6861]キーエンスのチャートを下記に示します。出来高はチャート画面の下に表示されています。
寄付きや大引け時には活発な取引が行われていることがチャートから視覚的にわかります。
では出来高をどのように応用するのでしょうか。
FX自動売買のトレンドフォロー型のEAで出来高を用いる場合、主に3種類の活用方法があると考えられます。
ブレイクアウト
1つ目は抵抗線や支持線のブレイクアウトの判断に利用します。
例えばローソク足が抵抗線付近に推移している時に出来高に目を移します。
十分な出来高があれば、抵抗線の攻防を経てブレイクアウトする可能性が高いと考えられます。逆に出来高が少なければ抵抗線を突破出来る程のエネルギーが無いことがわかります。
トレンドフォロー
2つ目はトレンドフォローの判断に利用します。
例えば移動平均線がゴールデンクロスして上昇トレンドを形成しているとします。
出来高が大きく減少することなく順調に推移している場合は、トレンドの継続が考えられますので押し目買い戦略として使えます。
逆に出来高が減少してきている場合は、トレンド継続のエネルギーが弱まっていると捉えて利確やトレンドフォローの見送りが考えられます。
ダマシの回避
3つ目はダマシの回避に利用します。
出来高が少ないのに急騰・急落した場合には所謂「ダマシ」の可能性が高いため、トレンドフォローせずに一旦様子を見るといった行動が取れます。ダマシを回避できれば損益改善に繋がると思います。
以上のように「出来高」を意識するだけで、トレードに優位性を持たせることができます。
FXで出来高を見る方法
株式投資では売買株数による出来高をチャートで確認することができますが、FXでは売買数を確認することができません。
それは、株式投資は東京証券取引所やNY証券取引所といった市場取引がメインですが、FXは相対取引がメインとなるからです。
FXでは「くりっく365」が市場取引で「店頭FX」が相対取引となります。
DMMFXやSBIFXといった代表的なFX業者は取引所経由ではなく、FX業者とトレーダーとの直接売買となります。
このため、市場外取引が大半を占めることから為替においては正確に出来高のデータを積み上げることができません。
ですが出来高の変わりとなるようなデータがあります。
それはティックを用いたティックボリュームを用います。
ティックとは価格が変動した回数を示しており、株式投資の出来高に相当します。
以下にMT4のチャートソフトのティックボリュームの表示方法を示します。
MT4に関しては以下の記事を参照下さい。
MT4の出来高(Volumes)表示設定
MT4を立ち上げてナビゲータウィンドウのインディケーターからボリュームのタブを開きます。ボリュームタブ内の「Volumes」を選択してチャートに表示します。
すると以下のようにチャート画面の下にティックボリュームが表示されるようになります。
小生は色の設定を変えていますが、1時間足表示にて水色線が1本前より出来高が上昇、桃色線が1本前より出来高が下降していることを示しています。
定量的に把握したい場合は、ウィンドウ内に目標値となる箇所に水平線を引いてあげることで、出来高の増減が視覚的に分かりやすくなります。
EAに出来高(Volumes)を導入
トレンドフォロー型の自作EAにティックボリュームの条件を加えてみました。
最初に説明しましたが、出来高の有用性として、ブレイクアウト・トレンドフォロー・ダマシ回避の3つあることがわかりました。
出来高を加味することでPF(プロフィットファクタ)の改善や最大ドローダウンの低減に結びつけたいと思います。
実際に出来高を適当する際には、Volume[]関数を用います。
[]内に数字を入力することで、指定するバーの出来高を取得することができます。
例えば現在の出来高であればVolume[0]、1本前の出来高であればVolume[1]となります。
小生は数本前の出来高と比較して増加していればトレンドフォローという形で売買条件を設定してみました。
増加に関しては、例えば Volume[1] > Volume[2]といった単純比較や○○倍以上増加した倍数比較など工夫の仕方が色々あるかと思います。
導入前
ここで2種類の導入前のEAのバックテストレポートを載せておきます。
2012年~2017年の5年間でバックテストを行っております。
ペイオフレシオとリスクリターン率についてはこちら
[関連] 「ペイオフレシオ」や「リスクリターン率」でEAやトレードの収益性を評価する
■1つ目のEA
PF : 1.55
最大ドローダウン : 1.76%
ペイオフレシオ : 1.5
リスクリターン率 : 4.9
■2つ目のEA
PF : 1.56
最大ドローダウン : 1.59%
ペイオフレシオ : 1.6
リスクリターン率 : 4.1
導入後
ティックボリュームを導入した場合どのような結果となったのでしょうか・・・
■1つ目のEA (改善後)
PF : 1.58 (+0.03)
最大ドローダウン : 0.83% (-0.93%)
ペイオフレシオ : 1.5
リスクリターン率 : 7.4
■2つ目のEA (改善後)
PF : 2.13 (+0.57)
最大ドローダウン : 1.84%
ペイオフレシオ : 2.2
リスクリターン率 : 3.7
出来高(ティックボリューム)を導入することで両方のEA共に損益改善につながりました!
特に2つ目のEAはPF2.13となりました!
自作EAに取り組んで2年以上が経過しましたが、初のPF2.0越えです!
ちなみにこのEAには出来高以外にも下記記事で紹介した要素を売買条件として組み入れてます。
■ 【FX自動売買】建玉を分割したらPFとドローダウンが改善
■ 【FX自動売買】EAにトレーリングストップ導入で損益改善?
まとめ
株式投資で有用性のある出来高に着目して、FX自動売買によるトレンドフォロー型のEAで優位性を持たせることができるか検証してみました。
結果として、損益改善につながったので出来高に着目したのはEA作りにおいても一歩前進出来たかなと思っています。
FX自動売買はその名の通り、完全に放置していてもシステムが勝手にトレードしてくれます。プログラミング初心者でも入門書を読めば構築出来ますので、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。始め方は下記の記事で紹介しています。
以上、「【FX自動売買】EAに出来高(Volumes)を適用したらPF2.0越えに!?」でした。