こんにちは、分散型ライフのエンジです。
今回はMT4で運用しているEAのバックテストの見方、並びにEAの評価方法に関してお話していきます。バックテストは所謂EAの成績表となります。
バックテストには多くのデータが記されていますが、必要部分のみフォーカスして説明します。また、単利運用や複利運用など、稼働させるEAのスタイルによってデータの見方も異なります。
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バックテストからEAの成績を読み解く
まずはサンプルとしてEAのバックテスト結果を掲載します。
バックテスト期間は「2012.01.01~2017.03.31」で実施しております。
以下の結果において各項目について掘り下げてみていきましょう。
モデリング品質
モデリング品質とは、バックテストの精度をパーセンテージで示したものとなります。ストラテジーテスターのモデル項目にて「Every Tick(全ティック)」を選択すると、一番精度が良い結果を得られます。但し、精度は仕様上100%とはなりえません。
なぜでしょうか?
過去データの4本値(始値、高値、安値、終値)の情報に基づき、バックテストを行っています。そしてローソク足の動きを下位時間足で推測してデータ補間を行っています。
例えば5分足であれば、1分足の4本値を用いて動きを推測してシミュレートしています。
しかし、1分足ではそれより下位の時間足がありませんので、4本値に至る動きが読めないのです。このため、1分足でバックテストを行うと精度は最高で25%となります。(100%÷4)
また、5分足以上が最高が90%となります。
さて、今回のバックテストでは右上に記述がありまして、「89.86%」となっています。
ほぼ90%ですね。後述する不整合チャートエラーが0であるため、実精度は90%レベルですが、システム計算上の数値処理が影響かと思われます。
基本的には、90%に近いモデリング品質でないと、EAの評価以前にバックテストの信憑性が欠けますので、まず初めにモデリング品質を見ましょう。n/aと表示される場合は過去データの取得が失敗している可能性があるので、再度見直してみましょう。
不整合チャートエラー
エラーが生じたティック数を示しています。不整合チャートエラーは0か限りなく0に近い値でないと信頼性に欠けます。また、モデリング品質は不整合チャートエラーの影響を受けますので、精度が低い場合はエラー数をチェックしてみて下さい。
純益
このEAを稼働させた時の純損益となります。
算出方法は、純益=純利益-純損失です。
ここが負である場合は、後述するPFも1.0を下回る値となります。
純益は初期証拠金やロット数で変化する値であるため、参考値として把握しておきましょう。
プロフィットファクタ(PF)
EAを評価する際に大事な指標となるのが、プロフィットファクタ(PF)となります。
算出方法は、プロフィットファクタ=純利益÷純損失です。
例えば、1.0の場合は損益±0となりますよね。1.0未満の場合は、損失>利益の状態であるため、損失が発生してしまうEAとなります。このため、1.0より値が大きい程利益をもたらすことがわかります。
経験的に、プロフィットファクタは1.0~2.0の間に収束します。
この間で2.0に近いEAを選択すると良いと思います。
また、プロフィットファクタが2.0を越えてくるEAは実運用には不向きな場合が多いです。プロフィットファクタが高い理由を下記に示します。EAを販売している業者でプロフィットファクタの数値を極端に強調している場合があります。くれぐれも注意して下さい。
・トレード回数が極端に少なくて、長期運用時の信頼性に欠ける。
・ナンピン仕様であり、将来的に多大なドローダウンを被る可能性がある。
・検証期間内で過度に最適化されたEAである。(カーブフィッティング)。相場の流れが変わったりトレンド転換が生じるとパフォーマンスが極端に悪くなる可能性が高い。
総取引数
EAを稼働させた期間内で何回取引があったかを示します。
プロフィットファクタが優秀なEAでも、取引回数が少ないとなかなか利益に結び付かなかったり、1回におけるドローダウンが手痛いものとなります。何回以上であれば良いという統計的データは持ち合わせておりませんが、年に数回といったEAは避けた方が良いかと思われます。
但し、自作EAで意図的にスイングトレードを考慮したものであれば問題ありません。自作以外で他者から購入したり運用する場合はロジックが見えないので注意です。
勝率
前述の総取引数に対して、勝ちトレードの割合を示します。
但し、勝率が高いからといって安堵していはいけません。勝率90%越えでも1回のドローダウンが非常に大きい場合があります。このため、勝率は参考程度に留めておきましょう。
絶対ドローダウン
絶対ドローダウンとは、初期証拠金からどの程度損失があったかを示す値となります。
例えば、初期証拠金100万円で運用して99万円になった場合には絶対ドローダウンが1万円となります。初期証拠金は資産状況によって各々異なるので、あまり参考とはなりません。
最大ドローダウン
最大ドローダウンとは、EA運用期間中に資産の最大値から最も下落した金額を示します。
Lotを固定した、単利運用時に参照する指標となります。
大凡20%以下が望ましいと言われています。
例えば、初期証拠金100万円で運用して150万円に資産が増加し、その後に110万円になったとします。その際の下落幅は40万円となります。過去にも140万円の時に120万円までの下落がありましたが、下落幅は20万円であるため、期間中の最大下落幅は40万円となります。これを最大ドローダウンといいます。
相対ドローダウン
相対ドローダウンとは、EA運用期間中に資産の最大値から最も下落した割合を示します。
Lotを資産状況に応じて可変させる、複利運用時に参照する指標となります。
大凡20%以下が望ましいと言われています。
まとめ
今回はEAのバックテストの見方について説明しました。
見るべきポイントとしては、「①データの信頼性、②収益性、③リスク」となります。
必ず見るべき項目はまとめると下記の3点となります。
・モデリング品質
・プロフィットファクタ
・最大ドローダウン/相対ドローダウン
EAのトレードスタイルに合わせてバックテストをじっくり眺めてみて下さい。
以上、「EAバックテストの見方は?EAの評価方法は?」でした。